「うんこドリル」は、ためらいを感じさせるかも?実際の評価はどうなの?
「うんこドリル」は多くの小学生の保護者に知られています。
このドリルでは、「うんこ」という単語が頻繁に登場し、子どもたちが楽しんで学習することができると言われていますが、一方で「うんこ」という言葉がもたらす品位の問題に、手を出しにくいと感じている保護者も少なくありません。
小学2年生の女の子の保護者の方が、この「うんこドリル」について、どうして使用することに決めたのか、また実際の口コミや評判、塾講師である私の私見を含めてご紹介します。
「うんこドリル」を使ってみた感想
「うんこドリル」を使ってみての効果は保護者の方からすると驚くほどだったとか。
お子さんが問題に非常に興味を持ち、先を知りたくてたまらない様子で、1日に1ページの制限を設けるほどだったとか。
ただ単に「うんこ」が出てくるだけでなく、ユーモアあふれる非現実的なシチュエーションに子どもが大笑いする日々。
宿題も「うんこ」に置き換えて考えるほど、「うんこドリル」に夢中になっていったよう。
家庭内の会話が「うんこ」一色になるという点は少々困ったものの、勉強への積極性には代えがたい価値があったという声も。
「いつか飽きるかも」と思っていたところ、「うんこドリル」の説明書には「飽きさせない工夫が満載」と記載されていました。
どうやら、飽きることはなさそう。
とにかく、学習を楽しむきっかけとしては大成功と言えるでしょう。
まさに子どもの学びに対する新しいアプローチとして価値あるツールだと感じたようです。
うんこドリルを選んだ家庭の事例
「うんこドリル」を導入した小学2年生の背景には、子どもが自主的に学習してほしいというものがありました。
特に、小学2年生の女の子は、すぐに結果が出ないと興味を示さないタイプでした。
彼女は短気で、面倒くさがりな性格ですが、一方で完璧主義者という複雑な一面も持っています。
日々の宿題は集中すれば10分で終わるような量ですが、「面倒だ」と毎日大声で叫び、なかなか取り組まないことが多いとか。
しかしその完璧主義が、結局は宿題を避けることを許さず、泣きながらでも時間をかけて取り組んでいます。
そんな状況で、勉強をマンガやゲームのように楽しめないかと考えていたときに、「うんこドリル」が目に留まりました。
インターネットで検索すると、「うんこドリル 下品」や「うんこドリル 気持ち悪い」といった否定的な意見も目につきましたが、子どもの学習への関心を引き出すためには試す価値があると思い、試してみることにしたという。
うんこドリルとは?
あらためて「うんこドリル」について紹介します。
子どもたちに大人気の学習ドリル
子どもたちに大人気の学習ドリル、売上累計1000万部超 2017年に低学年向け漢字ドリルとして登場した「うんこ漢字ドリル」は、発売からわずか2ヶ月で148万部を突破。
オリコン週間ランキングのBOOK部門で1~3年生向け各ドリルが同時にトップ3を占め、学習参考書としては初めて総合1位を獲得しました。
流行語大賞のノミネートやグッドデザイン賞金賞の受賞など、空前の成功を収めています。
2023年9月の時点で累計1000万部を超え、依然として人気が高い状態です。
このドリルを出版したのは文響社という出版社です。
この会社は、あまり耳にすることはないかもしれませんが、「夢をかなえるゾウ」の著者である水野敬也さんが設立者の一人です。
「夢をかなえるゾウ」は架空のゾウの神様と主人公との対話を通して自己啓発を描いたビジネス本で、こちらも大ヒットを記録しました。
「うんこドリル」がこの会社から生まれたことに納得がいきますね。
対象範囲と教科の種類
対象範囲と教科の種類 「うんこドリル」シリーズは、幼稚園児から小学6年生までを対象に、さまざまな教科をカバーしています。
これには国語、算数、理科、社会、英語、プログラミング、そして謎解きなどの内容が含まれています。
幼児向けのドリルでは、数や文字、知恵、色、形など基本的な学習要素が扱われています。
また、中学生や高校生向けの漢字ドリルも存在しているようです。
今回紹介するご家庭では、小学2年生向けの算数・文書問題のドリルを購入しました。
価格は税込み1265円で、以前購入した学研の小2算数・文章題ドリルの715円と比較すると、やや高価に感じられたとか。
問題文には必ず「うんこ」が登場
「うんこドリル」では、すべての問題と例文に「うんこ」が登場します。
例えば、漢字ドリルでは「時」という漢字を学ぶ際に、こんなユニークな例文が使われます。
「さっき見た時とうんこの形がちがう」
このような例文に、子どもは大笑いし、子どもの笑いのツボを押さえた内容に、驚きつつも感心しました。
小学2年生向けの算数・文章問題集では、すべての例文に「うんこ」が登場します。たとえばこんな問題があります。
「○○くんは、5このうんこをかばんに入れていました。やおやでおじさんに、2このうんこをもらいました。うんこはぜんぶで何個になっていますか?」
※これは1例です。実際の問題文とは異なります。
非現実的なシチュエーションが並びますが、出版社の配慮により、嫌悪感やいじめにつながらないように工夫されています。
また、シュールな挿絵が笑いを誘い、各所に登場する「うんこ先生」というキャラクターがヒントや誘導を行う点も特徴です。
「うんこドリル」の内容構成
小2算数の問題集のドリルには全25問と総まとめテストが含まれています。
以前購入した学研の小学2年生向け算数文章題ドリルは全38問+総まとめテストで、価格もこちらの方が低かったため、「うんこドリル」は比較的高価な印象です。
問題数が少ない理由は、一つ一つの問題文に多くのページと創造力を費やしているからです。
学研のドリルでは問題文が約5行で済むのに対し、「うんこドリル」では1ページを丸々使うこともあります。
単に「うんこ」が登場するだけでなく、シチュエーションのシュールさに重点を置いているため、文字数が多くなっています。
例えば、こんな問題があります。
「500個のゴリラのうんこを積んだ樽を持って、106回の腕立て伏せで日本記録に挑む先生」という設定を1ページかけて説明し、その後うんこの数や腕立て伏せの回数を問う問題が続きます。
問題を解く前に、「そんなことあるかな?」と違う視点で楽しみながら問題を解く子どももいます。
「うんこドリル」が下品でも期待される効果
「うんこドリル」を使うことで期待される効果は何なのでしょうか。
最も顕著な効果は「子どもが自発的に勉強に取り組むようになった」という点です。
普段から勉強を嫌がるタイプで、自習はもちろん宿題すら渋々という状態だったというお子さんでした。
しかし、「うんこドリル」を使い始めてからは、問題に興味を持ち、楽しみながら取り組んでいるとか。
特に勉強習慣がない子や苦手な科目に取り組む際の良い刺激になるという印象です。
文響社からは、「うんこドリル」を使った学習が、従来のドリルよりも学習効果や記憶の定着に優れているという研究結果が発表されています(東京大学との共同研究による)。
単に暗記するよりも、何か面白いエピソードと結びついた内容の方が記憶に残りやすいのは、大人も経験することです。
実際に、この点については、大学受験でも「エッチなゴロ合わせ」で使われている論理です。
「うんこドリル」は下品だが多様な展開がされている
ユニークな内容の「うんこドリル」ですが、現在は様々な分野への進出も見せています。
一例として、「うんこゼミ」という学習アプリがあります。
このアプリは、楽しいゲーム感覚で学習を促進することを目的としており、小学3年生から6年生向けに国語、算数、理科、社会、英語、教養などの科目があります。
月額は2480円(税込み)で、現在10日間の無料体験期間が設けられています。
さらに、海上保安庁や財務省主税局、YANMAR、富士通など約30の行政機関や企業とのコラボレーションも展開しています。
「うんこ啓発ドリル」という名で、お金や自然、SDGsに関する知識を楽しく学べる教育コンテンツを提供し、これは小学校への無料配布や文響社のホームページでの特設ページで、5分程度の学習をゲーム感覚で体験できるようになっています。
「うんこ」というテーマを軽んじることなく、子どもたちの学びに真剣に取り組む姿勢は評価できます。
「うんこドリル」のメリットとデメリット
「うんこドリル」にも、メリットとデメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。
メリット
「うんこドリル」の最大の利点は、子どもが勉強に強く興味を持つきっかけとなることです。
特に勉強を嫌い始めている子どもにとって、伝統的な教育手法では魅力を感じにくいこともあります。
学習は本来楽しいものですが、実際の体験や成果がないとその喜びを実感しづらいものです。
勉強を始める最初の一歩が躓き石となりがちですが、子どもの関心を引くような刺激的な材料を使って学習のきっかけを作ることは、一見異端に思えても有効な手段だと考えられます。
デメリット
一方で、デメリットとしては「うんこ」というテーマ自体の問題があります。
子どもの行動や言葉遣いが下品になる可能性が心配されます。
本の巻末には、ユーモアとしての側面を強調し、日常生活でのマネや他人への迷惑行為をしないようにと「うんこ先生」からの注意書きがあります。
例文も「うんこを食べる」などの嫌悪感を誘う内容を避け、非現実的なシナリオを用いて配慮が行われています。
多くのおこさんは、家では楽しく学習していても、公共の場では適切にふるまうことを理解しており、「学童では使わない」などと恥じらいを見せています。
しかし、非現実的な表現により、漢字や単語の本来の意味を理解しづらくなるという専門家からの指摘もあります。
個人的には、ドリルから全ての効果を期待する必要はないと思いますが、それでも一定の効果は認められるでしょう。
「うんこドリル」の活用方法とまとめ
「うんこドリル」の使い方として、多くのご家庭で気をつけていることは以下の通り。
- 苦手分野に特化して使用
- 低学年向けの教材として活用
- ユーモアであることの理解を促進
勉強に対する興味を引き出すには、やはり何か楽しい要素が必要です。
デメリットを十分理解した上で、「うんこドリル」を活用することで、特に苦手な科目の克服に役立っています。
単にドリルを与えればいいわけではなく、これをきっかけにして子どもに本来の学びの楽しさを教えることも大切です。
目標は、最終的に子どもが自分自身で学ぶ力を身につけることです。
塾講師として感じることは、今多くの子ども達に足りていない力です。
実際に、小学生の勉強は、2年生の漢字は1年生よりも複雑です。算数も2桁、3桁の計算や九九など、分数や小数が入ってきたり、難易度が一気に高まっています。
授業と宿題だけでは満点を取るのが難しくなる状況で、小学生でも家庭教師やマンツーマンの塾を利用するご家庭も増えています。
保護者の方が何よりも避けなければいけないことは、お子さんが勉強に対する嫌悪感を抱くことです。
「うんこドリル」が下品ということよりも、楽しく学習するきっかけをつかむ方がずっと有益だと思います。
興味のある方は、まずは1教科から試してみることをお勧めします。