中学受験をしないにも関わらず、小学生から塾が必要だと思っている家庭が増えています。
小学生から塾が必要だという背景には、塾に通えば成績が上がる、勉強に困ることはないという勝手な大人の思い込みがあります。
しかし残念ながら小学生から塾に通うと、ご家庭の想像を超えた悲しい現実が待っています。
塾関係者しか知らない塾の闇や実態を、大学受験専門の塾講師が暴露します。

とある塾で正社員として勤務して、普段高校生を中心に理系科目の指導を中心に行なっています。
塾の内部事情を知るからこそ話せる現実を暴露します。
小学生から塾に通っても、多くの子どもの成績が上がらない理由をお話しましょう。
この記事でわかること
- 中学受験をしない小学生に塾は必要ない
- 小学生から塾が必要ない理由
- 小学生から塾に通うと教育費で破綻する可能性が高い
こんな方におすすめ
- 小学生のお子さんをお持ちで塾に通わせようか迷っている人
- 小学生のお子さんを塾に通わせているのに成績が上がらないと困っている人
目次
小学生から個別指導塾に通っても成績が上がらない理由
小学生の塾といっても、大きく分けて2つあります。
私の勤務する塾のように、マンツーマンの指導をする個別指導塾と、学校の授業のように集団で受ける集団指導の塾です。
まずは、個別指導塾に小学生から通っても成績が上がらない本当の理由を見ていきましょう。
塾に通う時点で成績が上がるかどうかほぼ決まっている
一般的に塾に通うことで成績が上がるかどうかは、塾に通う動機によります。
つまり、大人が子どもの意思とは関係なく塾が必要だと思い込んで塾通いすることを決めてしまった場合は、なかなか成績が上がりません。
というのも、子どもたちからすれば、塾に通うように言われたから通っている!という気持ちなのです。
私の勤務する個別指導塾、生徒の大半は中学生、高校生になります。
というのも、受験に特化した専門の指導者や、学習障害に対応できる指導者がいることもあり、高校受験や大学受験で合格率が高いからなのです。

最近では、兄姉と一緒に、中学受験を考えていないにもかかわらず、下の小学生のお子さんにも塾が必要だと、入塾を決めてしまう保護者も増えています。
しかし、小学生がマンツーマンの指導をしてほしい!と思うのは中学受験をしない限りは本当に稀な話。
小学生からマンツーマン指導をつけてしまうと、わからないところは誰かに聞けばいいという勉強習慣がついてしまって、自分で考える、調べる習慣がなかなか身につかなくなります。
結果的に、大学受験までマンツーマンの塾に通うか、家庭教師にお世話になることになります。
ちなみに、家庭教師センターを利用する場合の相場は次のとおりです。
- 小学生は1時間当たり3000~6000円、中学受験の場合は3500~6500円くらい
- 中学生は3000円~6500円くらい
- 高校生は5000~8500円くらい

両親共働き、おじいちゃん、おばあちゃん、計6人のお財布があれば塾の費用は支払えるでしょうが、現実はかなり厳しいです。
残念ながら、あまりに早い時期から塾に通わせているご家庭のお子さんほど、私立高校・私立大学という流れが多いです。
塾の担当指導者のスキルが小学生向きではない
個別指導塾の指導者なかでも、個々の能力はまちまちです。
小学生の指導に特化した個別指導塾と比べて、中学生、高校生のマンツーマン指導に特化した個別指導塾では、小学生を担当する指導者は中学生、高校生を指導するスキルが足りない指導者が充てられることが多いです。
『小学生だから教えられるだろう…』

塾をかえたら、指導者をかえたら、子どもの成績が激変したという話も珍しくありません。
私の経験からしても、わが子の中学受験指導は最初苦戦しました(^^;)
だからこそ中学受験に特化した塾や家庭教師がいるのです。
余談ですが、中学受験対策に塾講師ではない保護者の方が勉強を教えることは避けた方がいいです。
私の見てきたなかで、子どものトラウマとなっているケースが多く、中学受験を境に親子関係が破綻している家庭が目立ちます。
指導する時間が実は少ない
私の勤務する個別塾は大きなフロアに机が並べられ、セパレータで仕切られているだけの空間なので、フロアで指導している内容が聞こえてくるということも日常茶飯事なのです。
夕方の早い時間に多く見かける光景ですが、指導時間の半分も無駄話をしている指導者も珍しくありません。
理由の多くは次のようなもの
- 子どもが飽きてしまうから
- 子どもを勉強漬けにしてしまうと勉強が嫌いになったら困る
- 子どもに勉強ばかり指導していて、塾に通わなくなられたら困る
小学生に限らず、家庭教師もマンツーマン指導の塾でも指導時間の半分以上を無駄話で済ましている指導者も案外多いのです。
もし、マンツーマン指導の塾にすでに通っていて、勉強以外の話をすることが多い場合は要注意です。
塾に通うのに自宅での学習習慣が変わらない
子どもの意思で個熱指導塾に通う、たとえ指導能力の高い指導者についたとしても、塾のない日の自宅学習の習慣が、塾に通う前と何にも変わらなければ、成績は上がりません。
ここでいう塾に通う前と習慣が変わらないとは次のようなケースです。
- 塾でしか勉強しない
- 子どもに対して勉強しなさいなどと口うるさくいう
子どもが勉強しないという理由に、周囲のガミガミに反抗して勉強しない子どもというのは案外多いのです。

小学生から集団塾に入れても成績が上がらない理由
次に、学校の授業のように集団で受ける集団指導の塾に小学生から入れても成績が上がらない本当の理由を見ていきましょう。
集団塾にそもそも向かない
今では家庭教師をつける小学生や、マンツーマンの個別指導塾も増えていますが、まだまだ小学生が塾に通うとなると授業形式の集団塾が主流です。
というのも、家庭教師やマンツーマンの個別指導塾となると、月謝が高額というイメージもあり、小学生のうちは、集団塾でいいよね(^^)というご家庭も多いです。
しかし、小学生の中にも増えているのが、授業について行けない子どもたち。
集団指導に向かない子どもが徐々に増えてきているのは、塾業界にいると体感するものです。
もし、塾に通う目的が学校の授業についていけない…というものなら、集団塾は向きません(^^;)
質問ができない
また、集団塾に向かない子どもの多くは、わからないところを質問できないのです。
小学生が塾に通うとしても、せいぜい多くても週2回程度。
塾でわからないところがあっても、集団塾の場合、質問できない子どもがいることは珍しくありません。
残念ながら、指導者の方から大丈夫、理解出来ている?などという声かけはあまり期待できません。
なので、じっと待っているタイプのお子さんは集団塾の場合、置いていかれるケースが多くなります。
集団塾に向くか向かないかは、お子さんの性格に寄るところが実は大きいのです。
ところが、最近問題になっていることが、小学生の子どもは何がわからないのかわからないという問題を抱えた子どもが増えていることです。
もし、お子さんがこのタイプの場合、集団塾に通わせることは完全に意味がありません。
塾に入った時点で成績が上がるかどうか決まっている
個別指導塾のところでも触れましたが、塾に通う時点で成績があがるかどうかが決まっています。
子どもから塾に通いたいといった場合に、集団塾にあるケースが、お友達が通っているからというもの。
一緒に切磋琢磨してくれればいいですが、中には遊びの感覚で塾に通う子どももいますので、塾に通うようになったら、しばらくは子どもの様子をじっくり観察しましょう。
くれぐれも、塾にだた月謝を払っていた…ボランティアしてしまったという事のないようにしたいですね。
担当指導者のスキルが足りない
担当指導者のスキル不足は、塾ではよくある話なので集団塾でもよくある話です。
塾講師の給与は、指導コマ数によって決まります。
例えば、1コマ4000円だったら、20コマの指導で80000円といった感じです。
なので、とにかく収入が欲しいという講師がいれば、コマ数を多くしたいので、自身のスキルに関係なく指導を担当します。
一般的に、集団塾では授業で使うテキストが決まっているため、テキストの問題をいくつか説明すれば済む話なので、個人塾よりは指導が楽なのです。
なかには、ど素人のアルバイトが塾講師をしていることも珍しくありません。
とくに、小学生の指導ともなると、内容が簡単だと判断して、理科や算数がまったくできないド文系の先生が指導に入ることもあります。
指導時間内に指導する内容が少ない
集団塾の授業の基本スタイルは、決まったテキストを使って授業をしていきます。
真面目なお子さんは、しっかりテキストを読み、問題を解くなど、予習をして塾に通うことをします。
このときに、わからない問題は次の時に先生の説明を聞こうと多くの子ども達は思うのです。
しかし、一般的に、テキストに問題演習がたくさんある場合は、多くの生徒がわからない問題だけを先生は解きながら説明していきます。
ということは、予習したときにわからなかった問題が塾の授業で解説されないことも多いのです。
どうせ塾で説明してくれないなら、予習してテキストをやっていく意味がない…と塾に通うのに予習をしないことがきっかけで、ただ塾には通うということだけになってしまった子ども達を多く見ています。
ほぼ新しい塾のテキストをコレクションのように本棚に飾っているご家庭をたくさんみています。
余談ですが、多くの塾用テキストは販売価格が決まっていないのです。
ご家庭は知りたくない現実ですが、塾によっては定価の5倍以上でテキストを買わせているフランチャイズの有名塾もあります。
塾のロゴが入るだけで、価格が5倍以上になるなんてバカバカしいですよね。
自宅での学習習慣が変わらない
個別指導塾であろうが、集団塾であろうが、自宅学習習慣がしっかり身についている子どもであれば、成績は上がっていきます。
しかし、どんな形式の塾に通うことをしても、自宅学習が定着していない場合は成績が上がることは期待できません。
中学受験をしない限り、小学生から塾は必要ありません
小学生から塾は必要ありません。しかし、中学受験をするのであれば、受験する中学に見合った塾に通うことが絶対条件です。
私の担当する生徒たちは高校生がメインになるため、小学生のときに地元の集団塾に通うことで失敗したという体験談はいくらでもあります。


私の親としての経験からしても、習い事でも同じような事が起きています。
わが子の場合、さまざまな習い事をしてきましたが、英会話・英語教室と算盤教室でも同じことがありました。
英語が嫌いになったら困るから、算盤が嫌いになったら困るからと言う理由で、宿題を出されない、フルには授業をしないなどの対応がありました。
結果的に、長々と通うことになってしまった習い事もありました。
特に、お子さんが小学生の場合は塾に通うことには注意が必要です。
集中力や体力、嫌われたくないなどの理由をならべて、塾ではフルに指導されないことが多いのは塾関係者の知るところです。
ちなみに、英語教室などの習い事でも同じ事が起きています。
よほどの理由がない限りは、小学生の低学年のうちから塾に通うことはおすすめしません。
